「人工土地」をご存知でしょうか?
埋め立て地のことではありません。

人工土地とは、香川県坂出市の駅前にある、1968年に第一期が竣工した住宅地再開発事業です。簡単に言うと、鉄筋コンクリートで2,3階ほどの高さに地盤を作り、その上に共同住宅や公園、下に商店街や駐車場、そして市民ホールを一体化したものです。

「地盤」の上には樹木やバラが植えられ、車も上がれます。住宅も大きな一つのハコがデンと乗っかっているのではなく、異なる高さの住宅棟が向きを変えて絶妙な配置で建てられています。団地が丸ごと「地盤」に乗っかっているのです。

人工土地はただの複合商業施設ではありません。当時としては斬新な設計で、「未来の都市空間」を先取りしたものだったのです。Docomomo Japan 「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されています。市民ホールも実は素晴らしいデザインです。

 

坂出は父の故郷なのですが、こどもの頃は「何もなくておもろな~い」と思っていました。(←失礼)

まさかこのような日本を代表する「メタボリズム」建築の傑作があるとは!
大人になってから再発見、大発見です。
ですが、老朽化も進み、商店街も寂れ、人工土地の行く末が心配です。市民ホールが休館となっていましたが改修工事が始まったようですので、人工土地も活かしてもらえたらと願っています。

なお、住宅部分には外部から上がることはできますが、住民がいらっしゃるのでプライバシーに配慮が必要です。

駅前には懐かしい感じの広いアーケード商店街もあります。シャッターアートが本格的!

2018年秋撮影