もう30年以上も前のこと。
コピーライターとしてこの業界に入り、
初めての給料で買った「ポール・スミス」のジャケット。
当時で、5万円くらい。ちょっと無理した。
右も左も解らず、初心者同然で始めた仕事は、
どれほど苦しく、どれほど辛い日々の連続だったか、
おそらく、今の若い人たちには想像もつかないと思う。
それでも、必死にくらいついて、
事務所に足を運び続けた毎日を共に過ごしてくれた、
いわば戦友のような存在。
あれから30年。さすがに今はヨレヨレのしわくちゃ。
何度かメンテナンスをしながら、生命を繋いできた。
このジャケットを見るたびに、当時を思い出す。
と同時に「もう、そろそろいいんじゃない?」
そんな声も聞こえるようになった。
たぶん、それが正解だと思う。
10年ほど前だったか、写真展の時にもらった直筆サイン。
ロゴとほぼ同じなところが、愛おしい。